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2021/12/15洋服の素材知識一覧!素材のメリットとデメリット

洋服の素材で使用されるもの、きちんと把握できていますか?今回は洋服に使用されている素材で多く使われているものの説明と特徴をご紹介します。

買い物をする時、チクチクしないものの方がいい、シワにならない方がいい、吸湿性があるものがいい、洗濯しやすいものがいい、いろいろなことを考えて購入します。素材の特徴をおさえていれば、綿製品がいい、混紡のものがいい、というように買い物の時の判断材料になります。

洋服の素材は数が多く、特徴をおさえて洋服選びができれば実際に着てみたけど着心地が良くなかったということがなくなります。今回ご紹介する素材は大多数の洋服に使用されているものですので、しっかりと把握してマスターしてくださいね。
  • 洋服の素材の分類

    洋服の素材は大きく下記の2種類に分けられます。最近ではその境界があいまいな素材も出てきていますが、基本は2種類です。

    天然繊維(自然繊維)
    コットンやウール等、自然界にあるもので、より合わせるだけのものなどが多い。大体のものが吸湿性を持ち、着心地がいいものが多い。染色が容易ではあるものの、汚れやシミを落としづらく、繊細なものもある。素材によってはなかなか手に入らないため高額になることがある。

    化学繊維(合成繊維)
    主に石油から合成されて作られることが多いが、木材を分解して合成して作る化学繊維もある。石油から合成した化学繊維は、天然繊維に比べて耐久性に優れ、シワになりづらく汚れに強い特徴があるが、吸湿性が無いものが多く、着心地が良くないことが多い。量産できるため安価なことが多い。

    どちらの素材も一長一短ありますが、耐久性だけで見れば化学繊維が優れ、着心地で見れば天然繊維の方が優れます。どちらの特徴もしっかりとおさえておくと洋服選びがスムーズになるでしょう。
  • 洋服の素材 天然繊維の種類と特徴

    洋服の素材に使用される天然繊維を紹介していきます。どういう素材なのか特徴と合わせてご紹介します。

    コットン(綿)
    世界で最も多く生産されている天然素材です。綿花が種を残す際に綿を生産するため、解いてより合わせて糸にします。
    メリットは吸湿性、吸水性に優れ、染色しやすい素材ということです。比較的丈夫なため家で洗濯できるものが多い特徴があり、安価なものが多いです。
    デメリットは乾きづらく夏場は暑く感じる方がいます。また、シワになりやすい素材で、色落ちしやすい素材です。

    リネン(麻)
    日本でも古くから親しまれている天然素材で、独特の風合いとシャリ感があります。麻の繊維をほどいてより合わせて糸にしています。
    メリットは吸湿性に優れ、発散性にも優れているため、着心地が非常に良い部分があげられます。コットンの約4倍の吸湿性があるため、通年快適に過ごせます。また、空気を多く含むため暖かく、丈夫で汚れが落ちやすい素材です。
    デメリットとしては少し肌触りが固く感じる部分と、スレなどには強くても引っ張りにはあまり強くない部分です。伸び縮みしない素材なため、インナーなどにはあまり向かない素材です。

    シルク(絹)
    昆虫である蚕が成虫になるときの繭をほどいてより合わせて糸にした素材です。蚕は人間が初めて家畜化した虫で、養蚕というように人間が育てている昆虫で、非常になめらかで肌触りの良い糸になる繭を作ります。
    メリットは吸湿性が高い点、上質な光沢、静電気が起きづらい、紫外線をカットする点です。コットンの1.3倍ほどの吸湿性があります。繊維自体が多孔質なため、空気を含み、暑さ寒さに影響されづらい特徴があります。
    デメリットはスレに弱く繊細な点、シミを落としづらい点、紫外線で変色する点です。引っ張りに強い素材ですがスレには弱いため基本的に家庭で洗うことが難しい素材です。紫外線をカットする素材ですが、吸収してカットしているため紫外線を多く浴びると変色してしまいます。

    ウール(羊毛)
    羊の毛を刈り、洗浄後によりあわせて糸にした素材です。一般的な素材で冬物に多く使われています。
    メリットは油分を含むため撥水性があり、濡れても保温性がある点、空気を含むため非常に暖かい点、シワになりにくい点です。通気性がありながら暖かいため多くの製品に使用されています。冬の定番ではないでしょうか。
    デメリットは洗うと縮みやすい点、虫食いが発生しやすい点、風を通しやすい、ちくちく感じる人がいる点です。家で容易に洗うことができないのと、虫食いが発生しやすいため保管している間に劣化や穴が開いていることがあります。チクチク感じる場合があるためインナーには向いていません。

    カシミヤ
    カシミヤはカシミヤヤギの毛を刈り取り洗浄してより合わせて糸にした素材です。滑らかな触り心地が特徴で高級素材として知られています。
    メリットは軽く保温性が高い点、柔らかい肌触り、上品な光沢、非常に暖かい点、伸縮性に優れている点です。暖かくする際に少ない量でも暖かくなるため非常に軽い特徴があります。肌に触れたとき滑らかな肌触りなためチクチクとした感覚がありません。
    デメリットは摩擦に弱い点、撥水性が弱い点、毛玉になりやすい点、虫食いが発生しやすい点です。使用している間に簡単に毛玉になってしまうので手入れが必要なのと、虫食いが発生しやすいため穴が開くことがあります。ウールよりも食われやすいため注意が必要です。

    キャメル
    フタコブラクダの毛で、年に一回脱毛するためその毛を集めて糸にしています。軽くやわらかで手触りがいい高級素材です。
    メリットは保温性が高い点、手触りがいい点、独特の光沢がある点です。手触りがよく滑るような滑らかな毛質が良く、コートなどに使用されています。
    デメリットは染色性が悪い点、摩擦に弱い点です。ラクダの特徴的な甘いブラウンのようなカラーを染め直すことが難しく、基本無染色で使用します。また、風合いを生かすために撚りを甘くして糸にしているため摩擦に弱いため、普段使用する際には注意が必要です。

    アンゴラ
    アンゴラウサギから採れる毛で、長めの毛質が特徴です。絹のように細く滑らかな毛が特徴的な高級素材です。
    メリットは細く滑らかな点、光沢があるため染色した時の見た目がきれい、保温性に優れている点です。他の毛よりも細く美しい見た目で、肌触りがいい素材です。毛の中が空洞になっており、空気を含むため非常に暖かく、軽い特徴があります。
    デメリットは毛が抜けやすい点、毛玉になりやすい点、虫食いが発生しやすい点、静電気が起きやすい点です。髪の毛で言うキューティクルのようなウロコ組織がないため滑りやすく毛が抜けてしまいやすい素材です。虫食いが発生しやすい素材で、使用する際には丁寧な手入れが求められます。

    アルパカ
    アルパカの毛をより合わせて糸にした素材です。シルクのような質感と光沢が特徴的な高級素材です。
    メリットは触り心地の良さ、自然な光沢、保温性に優れる点です。シルクのような質感をしており、滑らかな触り心地があります。また、毛の中が空洞になっているため軽くて暖かい特徴があります。
    デメリットは虫食いが発生しやすい点です。基本的にあまりデメリットらしい点はないのですが、他の毛同様非常においしい毛らしく虫食いが発生しやすいため手入れが必要です。
  • 洋服の素材 化学繊維の種類と特徴

    洋服の素材に使用される化学繊維を紹介していきます。どういう素材なのか特徴と合わせてご紹介します。

    ポリエステル
    石油から作られる素材で、洋服に使われるポリエステル素材は一般的にPETと呼ばれる種類のものが使われます。紡績方法や他の素材と混ぜ合わせることにより天然素材のような見た目になります。
    メリットは耐久性が高い点、軽い点、シワになりにくい点、速乾性がある点、耐候性が高い点です。化学繊維全般に言えますが耐久性が高いため、スレや引っ張りに強い素材です。シワになりにくく速乾性があるためコットンなどと混紡してスポーツウェアなどで使われることもあります。
    デメリットは汚れを落としづらい点と、燃えやすい点です。汚れを吸着しやすい素材のため黒っぽくなることがあります。また、よく燃えるためアイロンや火に近づけると溶けてしまうため注意が必要です。

    ナイロン
    石油から作られるポリアミドで作られた繊維で、ポリエステルに次いで多く生産されています。リモンタ社等高級ナイロンを手掛ける会社も存在する素材です。
    メリットは摩擦に強い点、軽い点、伸縮性がある点です。コットンの約10倍ほど摩擦に強い素材で洗濯をしても平気です。ポリエステルよりも少し軽いため、コートなどに使用した場合少し軽く感じます。
    デメリットは吸湿性がほとんどない点、熱に弱い点です。ポリエステルよりも吸湿性が無く、基本的に湿気は吸わない素材です。肌に触れたとき気持ちが悪いと感じる方がいます。

    アクリル
    石油から作られる化学繊維で、ウールに似たような繊維です。ウールより安く虫に食われないため冬物に重宝されています。
    メリットは染色しやすい点、柔らかい点です。染色しやすいため色鮮やかなものが多く展開されています。ウールに似てふっくらとして暖かい特徴があり、乾きやすいため多くの冬物に使用されています。
    デメリットは吸水性や吸湿性が悪い点、毛玉ができやすい点、静電気が起きやすい点です。汗を吸わないため不快感を覚える方もいます。他の化学繊維よりも毛玉になりやすいためクリーニングに出す必要がある場合があります。

    ポリウレタン
    薬品を組み合わせて作られた化学繊維で、スパンデックスとも言われ製造されています。混紡して使うことが基本で、単品では使用しません。
    メリットは高いストレッチ性です。ゴムのようによく伸び、ゴムよりも引張強度があり、ゴムより劣化しづらいといわれています。
    デメリットは塩素に弱い点、経年劣化がある点です。特に経年劣化は致命的で、素材として生成されてから2,3年程度が寿命といわれています。靴品などに使用するとよく伸び縮みするため消耗品には向いていますが、スーツやジャケットなどに使用する場合はポリウレタン部分が劣化し汚くなってしまいます。合皮にも使用しますが、剥げて見栄えが悪くなります。

    レーヨン
    木材パルプが原料で、再生繊維の一種です。レーヨンは高価なシルクをどうにか人工的に再現できないかと考えられた繊維で、シルクに似た光沢感と滑らかさが特徴です。ドレープ性があり、とろみのある見た目です。
    メリットは吸湿性に優れる点、肌触りがいい点、光沢が美しい点です。シルクに似せて作っただけありシルクに似た特性があります。主にスーツの裏地など、表ではなく裏地に使われています。
    デメリットはスレに弱い点、水に非常に弱い点、縮みやすい点です。擦れると白色化しやすい特徴があります。水にぬれると強度が1/3程度になり、糸が膨らむため縮みやすい特徴があります。

    キュプラ
    レーヨンと同じ再生繊維の一つで、コットンシードの産毛部分を使用しています。レーヨンより滑らかで裏地によく使用されています。
    メリットは肌触りがいい点、吸湿性・透湿性に優れている点、レーヨンよりも水に強い点です。レーヨンよりも滑らかでありながら水に強いため、シャツやブラウスにも使用することがあります。
    デメリットは縮みや変形しやすい点、摩擦に弱い点です。特に摩擦はレーヨンと同じく白色化してしまうことなどがあげられるので気を付けましょう。
  • 洋服の素材 指定外繊維とは

    洋服の素材に使用される指定外繊維を紹介していきます。どういう素材なのか特徴と合わせてご紹介します。
    指定外繊維とは家庭用品品質表示法内で登録されていない素材で、比較的新しい素材などが該当します。使ってはいけない素材ではなく、単純に品質表示タグ(ケアラベル)に表示してもいい素材表記に登録されていないというだけなので安心して使って大丈夫です。

    リヨセル テンセル
    リヨセルはユーカリを溶剤で溶かして繊維にする再生繊維です。レーヨンと同じく木材を使用しますが、リヨセルはユーカリのみを使用している違いがあります。
    メリットは風合いがある点、光沢がある点、ドレープ性がある点、吸湿性がある点です。自然な見た目で、程よい光沢感がある素材です。レーヨンと同じくドレープ性があるため高級感があります。
    デメリットは再生繊維特有ですがスレに弱い点、濡れたとき風合いが変わる点です。擦れると白色化しやすい素材です。濡れると風合いが固くなる場合があるため注意が必要です。

    モダール
    レーヨンの一種ですが、原料にしているパルプをブナに限定している違いがあります。一般のレーヨンより優れた素材として注目を集めています。
    メリットはレーヨンと違い、水に強いという欠点を克服している点です。シルクのような光沢があり、吸湿性に優れており、水にぬれても強度が落ちたりしないという点で優れています。
  • まとめ

    洋服に使用されている素材の数は多いようで使われているほとんどがよく見かける素材です。普段何気なくデザインとサイズだけで選んでいた方も、素材の特徴を理解していれば着心地が思っていたのと違うということを避けられます。

    今回ご紹介した素材は100%その素材だけを使用するのではなく、混紡して使うことも多くあります。例えばコットンとポリエステルを混紡することで、汗を吸って発散するようになるためスポーツウェアに向いた素材になるなど、長所と短所をうまく打ち消してよりよい着心地にすることがあります。

    自分が好む着心地が、どういう素材の時に再現できるのかを知っておくと、今後もっと失敗しない買い物につながるかもしれません。

    もし購入した後に、やっぱりこの素材合わないかも。と感じた際には買い替えるという方法もあります。エコスタイルなら使わないと感じた洋服の買取を行っております。買取方法は3パターンあるので、一番使いやすい方法を選んでご相談ください。

この記事を監修した担当者

  • エコスタイル
    吉本訓典
    AACD協会基準判定士、リユース営業士
    エコスタイル鑑定士

    広尾店、銀座本店の鑑定士を経て店舗サポート課に配属され複数店で鑑定士を経験。
    エコスタイルのコンテンツのコラムや買取実績などを担当。鑑定士で培ったブランド知識やメンテナンスの知識を活かしコンテンツを制作している。